営業代行の失敗事例|200万円で受注ゼロ。費用対効果の計算式
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営業を立ち上げるフェーズで、営業代行が選択肢に挙がります。しかし「発注したのに受注が生まれなかった」という失敗は、代行会社の質ではなく発注前の計算不足で起きます。
この記事は、成果報酬型のアポ獲得代行に200万円を投じて受注ゼロに終わったケースをもとに、失敗が起きる構造、費用対効果の計算式、発注前に確認する項目までを実数で示します。
発注前に確認する4つの観点
観点 | ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
何を買うのか | 成果報酬型が保証するのはアポイントであって受注ではない | 着座時点で課金されるため、受注0件でも費用は発生する |
いくらで買うのか | 今回のケースはアポ単価3万円から3万5,000円。アポ10件で投資30万円 | 単価だけを比較しない。課金が着座か成約かで意味が変わる |
どう回収するのか | 受注1件の粗利がアポ10件分の投資額を上回るか | 粗利250万円なら回収できる。粗利25万円なら赤字 |
いつ回収するのか | 10商談で3件が案件化し、うち1件が受注する歩留まりで計算する | 案件化から受注までが3ヶ月から半年で決まる案件は少ない |
発注してよいかは、アポ単価と受注1件の粗利の比較で決まる。数値は太田氏が相談を受けた実際のケースに基づく。
この記事の監修者
実例|200万円を投じて受注ゼロ
太田氏が知人の経営者から相談を受けたケースです。人材系サービスを提供する従業員数名の企業で、営業が得意なメンバーが社内にいないタイミングでした。それでも数字は上げなければならないため、業界的に知名度が高く、契約実績も豊富な営業代行会社に発注しています。
項目 | 内容 |
|---|---|
発注元 | 人材系サービス、従業員数名 |
社内の営業体制 | 営業が得意なメンバーが不在 |
発注先 | 業界的に知名度の高い営業代行会社 |
契約形態 | 成果報酬型のアポイント獲得代行、着座時点で課金 |
アポ単価 | 3万円から3万5,000円 |
投資総額 | 200万円 |
獲得アポ数 |
発注先の質が原因ではない。この失敗は、発注する側と受注する側の情報格差から生まれている。
営業代行がハマるケースはいくつかあります。逆に言えば、そのパターンに当てはまらない場合には、これと同じことが普通に起きています。
費用対効果の計算|アポ10件30万円を回収できるか
投資判断はアポ10件を基準に置くと計算できます。アポ単価3万円で10件購入すると30万円です。歩留まりをアポ10件に対して案件化3件、そのうち受注1件と置いたとき、判定は次のように分かれます。
ケース | 投資額 | 受注1件の取引総額 | 粗利 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
A:高単価・継続取引 | 30万円(3万円×10アポ) | 500万円 | 250万円 | 220万円のプラス。発注してよい |
B:低単価・単発取引 | 30万円(3万円×10アポ) | 50万円 | 25万円 | 5万円のマイナス。発注しない |
計算式はアポ単価×必要アポ数=投資額、投資額÷受注1件あたりの粗利=回収に必要な受注件数。ケースBは販管費を加える前の時点で赤字になる。
1件の受注までにいくらのコストが必要になるのか、その1件でどれだけの累計売上と粗利が上がるのか。この掛け合わせで、許容できるかどうかを見定めます。歩留まりの実績値がない場合は、アポ10件を購入して実測してから本発注に進みます。
成果が出ない理由|アポは取れても受注に至らない
アポイントは積み上がっているのに受注が生まれない。この状態が起きる理由は3つあります。
1つ目は、電話の受け手の心理です。営業代行は、自分たちで企業リストを作り、無名で誰も分からない状況から電話をかけて担当者を引き出し、商品を説明してアポを取ります。受け手側は「いきなり電話が来た会社だが、信用してよい会社なのか」と考えます。商品が良ければ検討できると言ってくれる相手は極めて少なく、マイナスの地点からアポイントがスタートします。この前提で、着座3万円から3万5,000円が見合うのかを考えます。
2つ目は、ブランド力です。誰でも知っている企業の営業を代行するのか、誰も知らない企業の営業を代行するのかで、アポイントが取れる件数は変わります。自社の商材がどちら側にあるかを踏まえたうえで、初回アポと2次アポを重ねて受注できるのかを判断します。
3つ目は、リードタイムです。10商談で3件が案件化しても、そこから3ヶ月、半年で決まる案件は多くありません。商材が分かりやすい、単価が低い場合は比較的受注しやすくなります。コンサルティングや高額の代行になると決まりづらく、顧客の事業と現状から課題を言い当てながら提案する必要があるため、難易度が上がります。
発注前にやること|売り方を言語化する
立ち上げフェーズの企業に多いのが、商材の売り方が言語化されていない状態で営業代行に発注してしまうケースです。どの層に、どう売れば売れるのかが決まっていないと、どんな層のアポが来ても受注できそうに見えてしまいます。
顧客側から見ると景色が違います。有名でもない商品の売り込みが来て提案を受けても、いろいろできそうだが結局何の会社なのか、何が得意なのか、事例は何があるのか、という見方になります。事例は、こういう前提、こういう条件下の顧客に対してはこう成果を提供できるという証明書として機能します。商材がふわついたまま、どの業界でも支援できる、何でもできると伝えると、その会社に発注する意味が伝わりません。
売り方の精度を上げたうえで、それでもなお営業代行に依頼すれば売上が上がると見込めるなら、発注してよいです。
発注前チェックリスト
確認項目 | 判定基準 |
|---|---|
アポ単価 | 課金は着座時点か成約時点か。今回のケースは着座時点で3万円から3万5,000円 |
案件化率・受注率 | 自社の実績値。実績がなければ小ロットで実測してから本発注する |
受注1件の粗利 | アポ10件分の投資額を上回るか |
商材の認知度 | 無名の状態から電話をかけてアポが取れる商材か |
リードタイム | 案件化から受注までの期間が投資回収の許容期間に収まるか |
売り方の言語化 | どの層に、どう売るかが社内で決まっているか |
6項目のうち1つでも埋まらない状態で発注すると、投資が回収できない側に倒れる。
よくある質問
Q. 営業代行のアポ単価はいくら?
今回のケースでは、成果報酬型のアポイント獲得代行でアポ1件あたり3万円から3万5,000円でした。課金タイミングは商談の着座時点です。
Q. 成果報酬型なら損はしない?
成果報酬型が保証するのはアポイントの獲得であって、受注ではありません。着座時点で課金されるため、受注が0件でも費用は発生します。
Q. 費用対効果はどう計算する?
アポ単価×必要アポ数で投資額を出し、投資額を受注1件あたりの粗利で割ります。アポ単価3万円ならアポ10件で30万円。受注1件の粗利が250万円なら回収でき、25万円なら赤字です。
Q. 営業代行はやめたほうがいい?
回収計算が成り立つなら有効です。成り立たないまま発注すると、200万円でアポ60件を買って受注0件という結果になります。
Q. 立ち上げ期に使うのは早い?
商材の売り方、狙う層、その層での勝ち筋が言語化されていない段階では早すぎます。言語化したうえで回収見込みが立つなら発注してよいです。
まとめ
営業代行で200万円が無駄になるのは、代行会社の質ではなく、発注前に費用対効果を計算していないことが原因です。今回のケースはアポ単価3万円から3万5,000円で、アポ10件なら投資30万円。この30万円を受注1件の粗利が上回るかどうかを、自社の歩留まりで計算します。粗利250万円なら回収でき、25万円なら赤字です。アポは取れても受注に至らない理由は、電話の受け手の心理、ブランド力、リードタイムの3つ。売り方が言語化できていない段階では、代行に出す前に売り方を固めることが、投資を無駄にしない一手になります。
営業の型づくりから実行までを支援します
株式会社ディーノは「営業開発」の支援として、営業の立ち上げと立て直しに特化し、これまで10社以上を支援してきました。支援先では、葬儀DX SaaSの立ち上げ企業で初月のアポ目標150%を達成し、EC支援企業で月間アポ獲得数が1.5倍になり、データマーケ支援企業では支援翌週に初商談が生まれています。アポ数を売るのではなく、受注までの歩留まりから逆算して、そもそも代行に出すべきかどうかから設計します。まずは課題の壁打ちからご相談ください。
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