新規開拓における事例の重要性

有効な事例の条件
条件 | 内容 |
課題・構造が近い | 業種や事業モデルが近いほど、抱える課題は極めて近くなる |
規模が近い | 従業員数や年商の規模が近い |
成果が数値で見える | 売上が上がる、コストが下がるなど、望む改善が出た数値がある |
知名度は必須でない | 判断軸は「近さ」と「成果」。有名企業である必要はない |
顧客が気にするのは、自社と課題・構造が近いか、導入で望む成果が出るか。事例の知名度は判断軸ではない。
なぜ事例が効くのか|時代の変化
日本は少子高齢化で人口が減り、購買力や経済成長は鈍化しています。旧来は有形商材を飛び込みで売り、会って信頼を得て購買につなげるスタイルが一般的でした。人口が増え、年功序列と終身雇用で組織も拡大し、売上が上がる前提でモデルが組まれていたため、営業の難易度は高くありませんでした。事業が伸びれば採用や仕入れが自然に発生し、需要が生まれていたからです。
近年は状況が反転しています。人口が減り、AIの出現で優秀な人材を厳選採用する動きが進み、組織は簡単には増えません。取り扱う商材もITやAIなど、無形で分かりづらいものが増えました。売り手にとって、営業の難易度は年々上がっています。
有形商材と無形商材の違い
有形商材は見れば分かり、手触り感があります。商品説明をすれば、担当者は「この課題にこう使えば解決する」とイメージでき、導入前後で数値がどれだけ良くなるかを手元で計算できます。費用対効果を出し、上長や決裁者、キーマンへの提案から稟議、購買へと進めやすくなります。
無形商材はこのイメージが湧きにくく、社内で使ったときの効果を社内で説明してもらいづらいという壁があります。この壁を越える鍵が事例です。近い会社の成功が、社内での説明材料になります。
ステップ | 有形商材 | 無形商材 |
使い方の想像 | 見れば分かる | イメージしづらい |
効果の試算 | ビフォーアフターを手元で計算できる | 効果を数値化しづらい |
社内説明 | 費用対効果で稟議に上げやすい | 社内で説明してもらいにくい |
後押しになるもの | 商品そのもの | 近い会社の事例 |
この記事の監修者
顧客は同業他社の勝ち方に集約する
従業員数が数万人規模でない企業が、5年10年先を見据えて逆算し、オリジナルの成長戦略を描けるケースは非常に少なくなります。だからこそ顧客は「同業でうまくいっている会社はどうやっているのか」を強く知りたがります。検討はツール選びが目的ではなく、自分たちの課題解決が目的だからです。
この心理を踏まえると、同業他社の事例は強力なフックになります。事例をきっかけに商談を獲得し、商談のなかでも具体的な数値で提案して、信頼を積み上げていきます。
事例の使い方|商談前と商談中
事例は、商談を取る前と、商談のなかで、使いどころが分かれます。それぞれで役割が違います。
場面 | 事例の使い方 |
商談獲得(商談前) | 同業や近い規模の事例をフックに、接点をつくる |
商談中 | この使い方で売上がこう上がる、コストがこう下がる、と数値で提案する |
社内の稟議 | 近い会社の成功を、決裁者が社内で説明する材料にしてもらう |
手触りのある具体的な数値を添えるほど、顧客は導入後を想像しやすくなる。
事例がないときは一社作って擦り続ける
参考になる話があります。中学・高校向けに教育商品を提供していた企業の事業立ち上げでは、新しい事業を立ち上げるときは、まず一旦、事例を作ることが最重要でした。学校は横一列で他校の取り組みを気にするため、「他の学校はどうやっているのか」を聞かれ続けます。そこで一社の事例を作り、それをとにかく擦り続けることで広がっていきました。
事例は超有名企業でなくてかまいません。顧客が気にするのは、自社と課題や構造が近いか、導入で望む成果や改善が見られるかです。まずは近い一社で成果を出し、その一社を丁寧に語れる状態にすることが、最初の突破口になります。
どの事例を取るか|逆算して設計する
事例は、出たものをそのまま使うだけではありません。自分たちの事業を今後どの方向に伸ばすかを決め、そこから逆算して、狙う業種や規模の事例を先に取りにいきます。伸ばしたいセグメントの成功事例が一つあると、その隣接領域の商談が動きやすくなります。
魅力的な事例をどう作り込むかは、それ自体が一つのテーマです。ここでは、まず「近い一社の成果を、数値で語れる形にする」ことを最初の設計として押さえてください。
よくある質問
Q. なぜ今、事例が重要なのか?
商材が無形化し営業難易度が上がった今、顧客は自社に近い同業他社の事例で導入を判断するからです。
Q. 有名企業の事例が必要?
必要ありません。判断軸は課題・構造の近さと、成果が出るかどうかです。
Q. 事例が1つもないときは?
まず近い一社の事例を作り、それを擦り続けます。新事業の立ち上げは、事例づくりが最初の一歩です。
Q. 事例はどう使う?
商談前は同業事例をフックに接点をつくり、商談中は売上増やコスト減などの具体的な数値で提案します。
Q. どの事例から取ればいい?
今後伸ばしたい業種や規模から逆算して、その領域の成功事例を先に取りにいきます。
まとめ
無形商材が増え営業難易度が上がった今、顧客は自社に近い同業他社の事例で導入を判断します。有効な事例は、課題・構造・規模が近く、成果が数値で見えるもので、有名企業である必要はありません。事例は商談前のフックと商談中の数値提案で使い分けます。まだないなら近い一社を作って擦り続け、伸ばしたい方向から逆算してどの事例を取るかを設計することが、新規開拓の勝ち筋になります。
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株式会社ディーノは「営業開発」の支援として、営業の立ち上げと立て直しに特化し、これまで10社以上を支援してきました。支援先では、葬儀DX SaaSの立ち上げ企業で初月のアポ目標150%を達成し、EC支援企業で月間アポ獲得数が1.5倍になり、データマーケ支援企業では支援翌週に初商談が生まれています。事例づくりから提案設計、実行まで、戦略と現場の両面で伴走します。まずは課題の壁打ちからご相談ください。
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