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ABMにおける勉強会とは|地方の業界特化SaaSに学ぶ設計と運営

ABMにおける勉強会とは|地方の業界特化SaaSに学ぶ設計と運営

地方の中堅・中小企業を顧客に持つ業界特化型(バーティカル)SaaSでは、勉強会が新規開拓の主力になっていることが少なくありません。経営者は「営業を受ける」より「勉強しに行く」方が足を運びやすいからです。

この記事は、ABM(アカウントベースドマーケティング)における勉強会の位置づけと、地方の業界特化SaaSに見られる勉強会の型、商談につなげる運営のポイントを示します。

ポイント
ABMにおける勉強会は、狙う業界・地域の企業を集め、実務に役立つ知識を提供しながら信頼と商談のきっかけをつくる施策です。地方の業界特化SaaSでは、①地域金融機関との共催型、②業界の商流との共催型、③地域コミュニティ型の3つがよく見られます。共催相手からは集客と信頼だけを借り、中身と説明は自社で担うのがポイントです。

ABMにおける勉強会とは

勉強会は、狙う業界や地域の企業群に対して、まとめて接点をつくる施策です。ABMでは、1社ずつ個別に働きかける「1対1」、似た企業群にまとめて働きかける「1対少数」、より広い対象に働きかける「1対多」に施策を分けます。勉強会は主に「1対少数」にあたります。

売り込みではなく学びの場として案内するため、まだ課題がはっきりしていない企業とも接点を持てます。勉強会で講師役を務めることが指名につながる仕組みは、セミナー営業とはでも解説しています。

この記事の監修者

代表取締役

太田 大貴
株式会社ディーノ 代表取締役


新卒でSaaS企業に入社し、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスのManagerを経験。AIスタートアップの営業組織立ち上げではARRを1.8倍に、人材系スタートアップではIS組織の生産性改善により成約金額を140%に向上させた実績を持つ。株式会社ディーノ設立後は、営業組織の立ち上げ・型化から新規開拓の実行支援までを一気通貫で担当している。

関連リンク:note / X / YouTube

地方の業界特化SaaSで勉強会が効く理由

  • 対象企業の数が限られている:地域×業界で絞ると、狙える企業は限られます。広告で広く集めるより、一社ずつ関係をつくる方が合理的です。
  • 「誰が使っているか」が決め手になる:地域の同業者同士はつながりが強く、近隣の同業他社の評判が導入の判断を左右します。
  • ITの窓口が経営者本人であることが多い:情報システム部門がない企業では、経営者が導入を決めます。

業界と地域を掛け合わせた限られた企業群に、まとめて信頼をつくれるのが勉強会の強みです。

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地方の業界特化SaaSに見られる勉強会の3つの型

公開されているセミナーレポートや業界記事から、よくある型を整理しました。

型

共催相手

借りられるもの

向いている場面

① 地域金融機関との共催型

地方銀行・信用金庫

取引先経営者への集客力

地域の経営者にまとめて届けたい

② 業界の商流との共催型

商社・設備メーカー・業界団体

業界内の信頼

業界の内側から知ってもらいたい

③ 地域コミュニティ型

自治体の創業支援拠点など

会場と地域での認知

小さく始めて定点で続けたい

① 地域金融機関との共催型

地方銀行が取引先に「DX支援」を提供する流れに乗り、銀行の名義で勉強会を開く型です。汎用SaaSでは2010年代後半から広がり、数十行と提携する企業もあります。支店を回りながらオフラインの勉強会を重ねる運用も報告されています。

ただし、業界特化SaaSの担当者からは注意点も語られています。

  • 銀行は200〜500もの商材を扱っており、SaaSの紹介は行員の評価にほとんど効かない
  • 行員の評価は半年ごとなので、勉強会やキャンペーンは半年単位で設計する
  • 銀行の部署への飛び込みの電話はほぼ取り次がれず、株主や取引金融機関からの紹介で1行ずつ広げるのが現実的

② 業界の商流との共催型

対象業界に深く入り込んでいる商社・設備メーカー・業界団体と組み、その顧客を招いて勉強会を開く型です。ただし、販売代理店として任せると失敗しやすい点に注意が必要です。ある業界特化SaaSでは、設備メーカー経由の販売がうまくいかなかった理由として次の3点が挙げられています。

  1. 先方の営業担当がIT商材を売った経験がない
  2. 紹介報酬が本業の単価より小さく、動く理由が弱い
  3. 商材の説明を先方に任せると、価値が伝わらない

そこで、商社を「売ってもらう相手」ではなく「展示会や勉強会の共催パートナー」として位置づけ直し、説明はSaaS側が担う形に切り替えた例があります。

③ 地域コミュニティ型

地方都市の創業支援拠点などを会場に、月1〜2回のペースで小さな勉強会を続ける型です。参加者は15名前後と小規模ですが、定期的に開くことで「あの会社に聞けば分かる」という地域内の評判をつくります。すぐに成果は出にくいものの、費用が小さく始めやすい型です。

勉強会を商談につなげる運営のポイント

  1. 招待前にアカウントリストをつくる:開催地域の対象企業を先に洗い出し、「誰に来てほしいか」からテーマを決めます。
  2. テーマは業界の困りごとにする:法改正への対応、人手不足、補助金の使い方など、製品名ではなく課題で集客します。
  3. 導入企業に話してもらう:同じ地域・同じ業界の利用企業の体験談が、何より強い説得材料になります。
  4. 個別相談の枠を当日に用意する:勉強会の後に15〜30分の個別相談の枠を設けると、その場で次の接点が決まります。
  5. すぐに成果を求めすぎない:地域の信頼は積み上げです。公開されている事例でも、パートナー経由の成果が出始めるまでに1年半かかったと語られています。

大手企業向けのABMへの応用

この考え方は、大手企業の開拓にも使えます。「地域×業界」を「業界×部門」に置き換えれば、たとえば「製造業の新規事業部門向け勉強会」のように、限られた企業群へまとめて接点をつくる施策になります。

よくある質問

Q. 勉強会とセミナーは何が違う?

セミナーは講演を聞く場、勉強会は参加者が自社の実務に持ち帰る知識を得る場として案内されることが多く、少人数で質疑や相談の時間を長くとるのが一般的です。

Q. 共催相手はどう選ぶ?

狙う企業群とすでに信頼関係があり、自社と競合しない相手を選びます。共催相手に販売まで任せるのではなく、集客と信頼を借りて、中身は自社でつくる前提で組みます。

Q. 参加者が少なくても続けるべき?

少人数でも、狙う企業の担当者が来ているなら続ける価値があります。参加者数ではなく、個別相談に進んだ数と、そこからの商談数で評価します。

まとめ

地方の業界特化SaaSにとって、勉強会は限られた企業群にまとめて信頼をつくる施策です。地域金融機関・業界の商流・地域コミュニティといった共催相手から集客と信頼を借り、中身は自社で担い、当日の個別相談で次の接点を決めることで、勉強会を商談につなげられます。

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