AIで営業リスト作成とキーマン調査を進める方法|DBとAIの役割分担

営業リストの作成やキーマンの調査は、時間がかかるわりに成果に直結しにくい作業です。生成AIを使えば一気に片づくのではないか、と考える方も多いと思います。
実際、AIはリスト作成やキーマン調査に役立ちます。ただし、AIに「〇〇業界の企業リストを作って」と頼むだけでは、抜け漏れや雑な出力が多く、そのままでは使えません。この記事では、ディーノが大手企業の開拓で使っている、DBとAIの役割分担、リサーチの分け方、指示(プロンプト)の型を紹介します。
ポイント
AIで営業リストを作るときは、まずDB(企業データベース)で対象を抽出し、AIは確認・補完と「話のきっかけ(フック)」の調査に使うのが基本です。AIへの作業は「リサーチ」「評価」「判定」に分けると精度が上がります。キーマンが見つかったら、商材の情報を前提に「何をきっかけに話すか」までAIに調べさせます。誰にでも言っている話には相手は反応しないため、相手を調べて1社ごとに当てることが目的です。最後の判定は、業界知見と一次情報をもとに人が行います。
AIで営業リスト作成をするときの基本的な考え方
AIだけで抽出すると抜け漏れが出る
汎用の対話型AIだけで企業を洗い出すと、対象の抜け漏れや、条件に合わない会社の混入が起きやすくなります。かといって、DBの業種タグで抽出するだけでも、実際の事業とずれることがあります。
そこでディーノでは、次の順番で進めています。
- 業界知見で「どんな会社を狙うか」を決める
- DBで対象を抽出する
- AIで確認・補完する
- 一次情報(企業サイト、求人、IRなど)をもとに判定する
AIは「最初に全部を出す道具」ではなく、「DBで出した結果を確かめ、足りない情報を埋める道具」として使います。DBの選び方は営業リストのDBを選ぶ前に確認する6項目で解説しています。
DB・AI・人の役割分担
担当 | 得意なこと | 任せないほうがよいこと |
|---|---|---|
DB | 条件(従業員数、業種、地域など)での一括抽出 | 業種タグだけでの最終判断 |
AI | 企業サイトからの情報抽出、名寄せの候補出し、キーマン候補・フック情報の調査 | 対象の全件洗い出し、最終の当否判定 |
人 | 狙う会社の決定、最終判定、相手に伝える言葉 | 1社ずつの手作業での転記 |
この記事の監修者
AIリサーチは「リサーチ・評価・判定」に分ける
ディーノの社内会議で出た課題に、「従業員1,000名以上の企業の上席責任者を狙いたいが、グループ内のシステム子会社などを除外しながら探すのが非常に手間」というものがありました。大手企業はグループ会社が多く、名前が似た会社や、親会社の機能子会社が混ざりやすいためです。
そこで、AIへの作業を3つに分けて、精度を改善し続ける形にしています。
段階 | AIにやらせること | 出力の例 |
|---|---|---|
リサーチ | 企業の事業内容、拠点、グループ構成、キーマン候補、フック情報を集める | 調べた事実と出典URLの一覧 |
評価 | 集めた情報を、狙う条件(規模、部署、課題)に照らして点検する | 条件ごとの合否と理由 |
判定 | 評価をもとに、リストに入れるか・除外するかを決める案を出す | 採用/除外/要確認の3区分 |
最後の「要確認」は人が見ます。1回で完璧を目指すより、判定のずれを見つけるたびに指示を直していくほうが、精度は着実に上がります。
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キーマン特定とフック情報の調べ方
キーマンが見つかったら「何をきっかけに話すか」まで調べる
キーマン(部署・役職者)の候補も、AIでWeb検索して探せます。ただし、リンク切れや古い情報が混ざるなど、精度にはまだ課題があります。人や部署の調べ方の基本は大手企業のキーマンの調べ方で説明しているので、ここではAIならではの使い方に絞ります。
ポイントは、キーマンを見つけて終わりにしないことです。商材の情報を前提に、「この人に何をきっかけに話すか」というフックまでAIにリサーチさせます。社内会議では、「誰にでも言っている話には自己開示しない。相手を調べてワン・トゥ・ワンで当てると反応が取れる」という話が出ました。
商材ごとに「アポにつながりやすいフック」を定義する
フックは商材によって違います。たとえば採用支援の商材なら、「求人媒体に長く掲載され続けている会社は、採用できていないのではないか」という仮説が立てられます。このように、商材ごとに「どんな事実があれば話を聞いてもらいやすいか」を先に定義し、その事実をAIに探させます。
指示(プロンプト)の型
以下は、リサーチ段階でAIに渡す指示の型です。【 】の部分を自社の情報に置き換えて使います。
あなたは法人営業のリサーチ担当です。
次の企業について、公開情報だけを使って調べてください。
# 対象企業
【企業名】(企業サイト:【URL】)
# 自社の商材
【商材の概要と、解決できる課題を2〜3行で】
# 調べること
1. 事業内容と主な拠点(本社・工場・支社など)
2. グループ構成(親会社・子会社。システム子会社などの機能子会社は区別して記載)
3. 【狙う部署】の責任者候補(氏名・役職・情報源)
4. 次の「フック情報」に当たる事実があるか
- 【例:求人媒体に長期間掲載されている求人】
- 【例:中期経営計画で触れている重点テーマ】
5. 上記をもとに、商談のきっかけになりそうな話題を2つ
# ルール
- すべての項目に出典URLを付ける。見つからない項目は「不明」と書く
- 推測で埋めない。推測を書く場合は「推測」と明記する
- 情報の日付が分かる場合は併記する
出典URLを必ず付けさせ、「不明」と書かせることで、もっともらしい作り話を減らせます。出力は必ず人がリンクを開いて確認してください。
AIで営業リストを作る具体例
ディーノが支援や社内で実際に行った例を紹介します。
例1:企業→拠点→製品で、工場単位のリストを作る
製造業向けのデモとして、企業名から工場の拠点、さらに各拠点でつくっている製品をウェブから抜き出し、工場単位のリストを作りました。本社にかけるより、製品や拠点に合った部署に届きやすくなります。
例2:業界団体の掲載企業から、名寄せして優先先を選ぶ
小売業界のある業界団体に掲載されている約1,600社をAIで抽出し、ブランドとホールディングスの単位で名寄せして重複を除き、500社を優先先として選定しました。大手は同じグループの会社やブランドが別々に載っていることが多く、名寄せをしないと同じ会社に何度も連絡することになります。
例3:サイトのURL構造から利用ツールを推定する
企業のサイトのURL構造(たとえばヘルプセンター型のパス)から、特定のSaaSを使っているかを推定し、セグメントに分ける方法もあります。導入ツールからターゲットを絞る考え方は導入しているツールから大手のターゲットを絞るで詳しく解説しています。
AIでリストを作る前のチェックリスト
- 狙う会社の条件を、業界知見をもとに言葉にしている
- まずDBで抽出し、AIは確認・補完に使う順番になっている
- グループ会社・機能子会社の除外ルールを決めている
- 名寄せの単位(ブランド、ホールディングスなど)を決めている
- 商材ごとのフック情報を定義している
- AIの出力に出典URLを付けさせ、人が確認している
部署直通番号やキーマン、組織図をまとめて調べたい場合は、ディーノのToppa AIも選択肢になります。
よくある質問
Q. AIだけで営業リストを完成させられますか?
おすすめしません。AIだけで抽出すると抜け漏れや条件に合わない会社が混ざります。DBで抽出し、AIで確認・補完し、最後は人が一次情報で判定する流れにしてください。
Q. AIで調べたキーマン情報は、そのまま使えますか?
そのままは使えません。リンク切れや古い情報が混ざることがあります。出典を開いて、役職や在籍が今も正しいかを確かめてから使います。
Q. 調べた内容は、どう営業に生かせばよいですか?
フック情報をもとに「なぜあなたに、なぜ今」を一言で言えるようにして、電話や手紙の最初に使います。提案物を1社ごとに作り分ける方法は生成AIで1社ごとに提案物を作り分けるで紹介しています。
まとめ
AIで営業リストを作るときは、DBで抽出し、AIは確認・補完とフック情報の調査に使い、最後は人が判定します。AIへの作業は「リサーチ・評価・判定」に分け、出典を付けさせて精度を上げていきます。目的はリストの件数を増やすことではなく、相手を調べて1社ごとに当てられる状態をつくることです。
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