情シスへの営業電話が担当者に届かない理由|大手の情報システム部門の攻め方

大手企業の情報システム部門(情シス)に営業電話をかけても、担当者までたどり着けない。代表電話で「どちらの部署ですか」と聞かれて止まる、自動音声から先に進めない、やっと話せたと思ったら「うちはグループで管理しているので」と断られる。情シス向けの商材を扱う会社から、よく聞く悩みです。
この記事では、ディーノが支援した、IT系の商材を大手企業の情シスに提案する案件の振り返りをもとに、情シスへの営業電話がどこで止まるのか、どう攻め方を変えたのかを説明します。
ポイント
大手の情シスへの営業電話は、「担当者に届く前」で止まります。ある支援案件では、会話できた先のうち情シスの担当者にたどり着けたのは約7社に1社でした。壁は、担当者名がWebで手に入りにくいこと、代表電話や自動音声、そして親会社やシステム子会社によるIT管理の一括化です。対策は、組織図で担当者名と部署直通番号を特定して指名でかけること、グループ管理の会社には親会社やシステム子会社へ別ルートで当たること、対象の企業規模を見直すことです。競合の多い商材は、単体の製品訴求ではなく「今の製品を変えずに入れられる」といった軸から入ります。
情シスへの営業電話は「担当者に届く前」で止まる
ディーノが支援した、従業員1,000名以上の大手企業の情シスにIT系の商材を提案する案件では、約400社に接触しました。そのうち人と会話できたのは約280社でしたが、情シスの担当者にたどり着けたのは約7社に1社(約14%)にとどまり、商談になったのは1件でした。
電話そのものはつながっています。止まっていたのは、受付から担当者へ届く段階です。この案件の数字を段階ごとに分けた分析は「テレアポのアポ率の平均と分解」で詳しく紹介しています。ここでは、なぜ情シスは届きにくいのか、どう手を打ったのかに絞って説明します。
この記事の監修者
大手の情シス担当者に届かない3つの壁
振り返りの録音と定例資料から、情シスへの営業電話を止めていた壁は次の3つでした。
壁 | 何が起きるか | 打ち手 |
|---|---|---|
担当者名が分からない | 情シス担当者の名前はWebで手に入りにくく、指名で呼び出せない | 組織図で担当者名を特定する |
代表電話・自動音声 | 部署につないでもらえない、音声案内から先に進めない | 部署直通番号を特定して直接かける |
親会社による一括管理 | 「IT管理はグループでまとめている」と断られる | 親会社やシステム子会社に別ルートで当たる |
担当者名と部署直通番号を特定する
営業部や人事部と比べて、情シスの担当者は外に名前が出る機会が少ない部署です。そのため、担当者を名指しできず、受付で「どういったご用件ですか」と止められてしまいます。
この案件で次の打ち手として決めたのは、組織図で担当者名と部署直通番号を特定し、指名で架電することでした。代表電話を経由しないので、受付や自動音声の壁を避けられます。部署直通番号の考え方は「部署直通番号とは」、担当者の調べ方は「大手企業のキーマンの調べ方」で解説しています。
あわせて、担当者に届くまでの再架電を3回以上にすること、つながりやすい午前に架電を寄せることも標準にしました。詳しくは「テレアポの再架電」と「法人テレアポがつながる時間帯」をご覧ください。
グループ一括管理の会社は親会社・システム子会社に当たる
製造業などの大手企業では、IT管理をグループの親会社やシステム子会社がまとめて担っていることがあります。この案件では、断られた理由のうち約12%が「グループで一括管理している」というものでした。
この場合、子会社の情シスにいくら電話をかけても話は進みません。判断しているのは親会社かシステム子会社だからです。断り理由に「グループ管理」が出たら、その会社は架電リストから外すのではなく、親会社やシステム子会社に別のルートで当たり直します。断り理由を記録しておかないと、この切り替えができません。
対象の企業規模を見直す
この案件では、当初の対象を従業員「500〜1,000名」に設定していました。振り返りの結果、対象を「1,000名以上」に引き上げ、すでに架電のデータがある先については800名以上を対象にしました。
ターゲットの規模は、商材がどの規模の情シスの課題に合うかで決まります。架電の結果を規模別に見て、反応のよい層が分かったら、対象を見直すことが大切です。ターゲットの決め方は「大手開拓のターゲットリストの作り方」も参考にしてください。
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競合の多い商材は「訴求の2段階設計」で入る
IT系の商材のように競合が多い商材は、製品単体の良さを伝えても刺さりにくい傾向がありました。情シスの担当者は、似た製品の営業電話を何度も受けているからです。
そこでこの案件では、訴求を2段階に分けました。
- 主軸は「既存の製品を変えずに導入できる」という差別化の軸で入る
- 急ぎのニーズがある相手にだけ、既存の商材を案内する
「今の製品を入れ替えましょう」という話は、情シスにとって負担が大きく、聞く前に断られがちです。今の環境を変えずに足せる話なら、まず聞いてみようと思ってもらえます。
あわせて、「製品訴求」と「運用診断」の2パターンのトークスクリプトを用意し、どちらが反応を得られるかをABテストする形にしました。どちらか一方に決め打ちせず、反応を見ながら入口を選ぶ進め方です。スクリプトの作り方は「トークスクリプトの作り方」で説明しています。
情シス向けの提案は「段階導入」が通りやすい
別の支援案件では、情シスやCS・ヘルプデスクの領域について、次のような傾向が見られました。
- 当事者の部門長が、そのまま決裁者であることが多く、話が早い
- 全面的な刷新は負担が大きいので、まずフロント部分から入れる段階導入の提案が通りやすい
担当者に届いた後は、いきなり大きな提案をするより、小さく始められる入口を用意しておくと商談が進みやすくなります。入口の作り方は「大手開拓の入口商品をつくる」をご覧ください。
情シスへの営業電話を見直すチェックリスト
- 担当者名と部署直通番号を、組織図などで特定してからかけている
- 担当者に届くまで3回以上かけ直している
- 架電を午前に寄せている
- 断り理由を記録し、「グループ管理」の先を親会社・システム子会社に振り替えている
- 架電結果を企業規模別に見て、対象の規模を見直している
- 製品単体の訴求ではなく、今の環境を変えずに導入できる軸から入っている
- 入口のスクリプトを2パターン用意して比べている
よくある質問
Q. 情シスへの営業電話は代表電話からでもつながりますか?
A. つながることはありますが、代表電話や自動音声で止まりやすいのが情シスの特徴です。ある支援案件では、会話できた先のうち担当者に届いたのは約7社に1社でした。部署直通番号を特定して指名でかけるほうが、担当者に届きやすくなります。
Q. 「グループで管理しています」と言われたら、どうすればよいですか?
A. その会社への架電は止め、親会社やシステム子会社に別ルートで当たり直します。判断しているのはそちらだからです。断り理由として記録しておき、リストを振り替えてください。
Q. 情シスの決裁者は誰ですか?
A. 会社や商材によって違います。別の支援案件では、情シスやヘルプデスク領域では当事者の部門長がそのまま決裁者のことが多く見られました。商談の場で、誰が決めるのかを早めに確認することをおすすめします。
まとめ
大手企業の情シスへの営業電話は、担当者に届く前で止まります。担当者名が分からないこと、代表電話や自動音声、親会社やシステム子会社による一括管理が主な壁です。組織図で担当者名と部署直通番号を特定して指名でかけ、グループ管理の会社には別ルートで当たります。対象の企業規模も、架電結果から見直します。競合の多い商材は、今の環境を変えずに入れられる軸から入り、段階導入で小さく始める提案を用意しておくと商談につながりやすくなります。
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